たので、何事かと思つて常葉を先きに、そのあとから呉葉がつゞいて驅けるやうにして入つて來ると、結び燈臺が消えてゐて、登子と窕子と引被いて打伏して了つてゐるのに度膽をぬかれて、かれ等もそのまゝそこに打伏してしまつたといふのであつた。『こわや、こわや……』常葉の顏はまだ蒼青だつた。
あとからついて來た呉葉にはそれは見えなかつたが、常葉には白いふわふわした焔のやうなもの――よく見ればそれは衣冠であつたかも知れなかつたやうなものがそこにひろがつてゐたのが見えたといふのだつた。それを見て常葉はすぐ打伏したといふのだつた。呉葉は呉葉で、二人のみならず常葉までがさうして引被いて了つたので、かの女も急に恐ろしくなつてそのまゝ隅のところに身を寄せたといふのだつた。
『たしかにそれに違ひない……宮が來られたに……』
登子は確信したやうに言つた。
『こわや――』
常葉はブルブル身を顫はすやうにした。たしかにあれが、あの白いものが宮だつたと思ふと、後から水でもかけられるやうな氣がするのだつた。『あまり泣いたものだから……』それで宮がやつて來られたのだ。登子は次第に元の心の状態になつて行つた。
窕子にして
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