時に母者にとめられた――』
『まア……』
窕子も流石に驚かずにはゐられなかつた。
『でも、死きれぬ身、何うしても死きれぬ身……それが、窕子どの、この身のつたない運命なのだから……。何うすることも出來ない身だから……』つまり御門でなければどうにでもなるが、さういふさだめの身になつた上は、いくら考へて見たところで、またいくらもだえて見たところで徒勞だといふのだつた。否、姉の中宮に對する心づかひなども細かくその中に籠められてあるのだつた。やはり窕子が兼家のために無理に其方に伴れて行つたのと同じことだつた。
『女子といふものは、さだめつたなく生れたものなればのう――』
『ほんに――』
窕子も身につまされずにはゐられなかつた。
『女子といふものは、何のやうに思ひ込んだところで、何うにもならぬし、いくら望ましくないと言つても、それが通るわけでなし――』
それは窕子と兼家との關係とは比すべくもないけれども、それでもまゝにならないといふ心持は似てゐるので、窕子には登子の心持がよくわかつた。後には窕子は登子を透してひろい人生に對するやうな氣がした。
登子は式部卿の宮の歌やら詩やらを出して見せた。
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