の手伝酒を振舞つて居るところであるが、その十五畳の大広間には順序次第もなく、荒くれた男がずらりと並んで、親椀で酒を蒙《かぶ》つて居るものもあれば、茶碗でぐび/\遺つて居る者もある。さうかと思ふと、さも/\腹が空《す》いて仕方が無いと言はぬばかりに一生懸命に飯を茶漬にして掻込んで居るもの、胡坐《あぐら》を掻いて烟草《たばこ》をすぱり/\遣つて御座るもの、自分は今少し前、一寸《ちよつと》其席を覗《のぞ》いて見たが、それは/\何とも形容する事の出来ぬばかりの殺風景で、何だか鬼共の集り合つた席では無いかと疑はれるのであつた。いづれも火の母屋《おもや》に移らぬ事を祝しては居るが、連夜の騒動に、夜は大分眠らぬ疲労《つかれ》と、烈しく激昂《げきかう》した一種の殺気とが加はつて、何《ど》の顔を見ても、不穏な落付かぬ凄《すご》い色を帯びて居らぬものは、一人も無かつた。
 それが、自分が覗《のぞ》いてから、大方一時間にもなるのであるから、酒も次第にその一座に廻つたと覚しく、恐ろしく騒ぐ気勢《けはひ》が其次の間に満ち渡つた。
「来てるのかね?」
 と自分は友の言葉を聞いて、すぐ訊《たづ》ねた。
「来てるです
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