うな生活をしてゐないといふことが、さつき想像したやうにきまつた保護者すらこの人にはないといふことが、それとはつきり時子にも呑み込めて来たのであつたが、アンナに取つても、B達がかうして揃つて訪問して来て呉れたことに対しては非常に感謝したらしく、頻《しきり》にチヤホヤとかれ等を※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]待した。B達は東京からの言伝《ことつて》を述べたり、託されて来た手紙と金とを其処に出したりして、アンナを喜ばせたが、その室《へや》の壁に接して十字架に並べてその Watanabe のカビネの写真像の置かれてあるのを眼にしたときには、彼等は思はず感激の声を立てた。



底本:「定本 花袋全集 第二十一巻」臨川書店
   1995(平成7)年1月10日発行
底本の親本:「アカシヤ」聚芳閣
   1925(大正14)年11月10日発行
初出:「北海タイムス」
   1925(大正14)年1月15、17、19、21、23日
入力:tatsuki
校正:林 幸雄
2009年4月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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