ってきて、
「坊ちゃん、私が見つけてあげましょう。」
そういって、ビール樽のかげの帽子のしっぽを、ひらひらと吹いて見せました。幸太郎は、すぐ帽子のある所を見つけました。
「万歳!」
幸太郎は、帽子の尻尾《しっぽ》をつかんで叫びました。
「風やい、もう取られないぞ!」
幸太郎は、帽子のつばを両手で、しっかり握っていいました。
「ほう、ほう」風はそう言いながら、飛んで行きました。
エプロンも、木の葉も、紙屑《かみくず》もまたダンスをしていたけれど、幸太郎の帽子はもうダンスをしませんでした。
底本:「童話集 春」小学館文庫、小学館
2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行
底本の親本:「童話 春」研究社
1926(大正15)年12月
入力:noir
校正:noriko saito
2006年7月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
竹久 夢二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング