旅籠《はたご》や三輪《みわ》の茶屋《ちやや》…………
五|日《か》、三|日《か》夜《よ》をあかし…………
と指《ゆび》おりかぞえ
…………二十日《はつか》あまりに四十|両《りやう》、つかひはたし
て二|歩《ぶ》のこる、金《かね》ゆへ大事《だいじ》の忠兵衛《ちゆうべえ》さ
ん…………
といつて、傍《かたは》らに首《くび》をたれた忠兵衛《ちゆうべえ》をみやつたガラスの眼《め》には泪《なみだ》があるのかとおもはれました。
…………科人《とがにん》にしたもわたしから、さぞにくかろう
お腹《はら》もたとう…………
思《おも》ひせまつて梅川《うめかは》は、袖《たもと》をだいてよろ/\よろ、私《わたし》の方《はう》へよろめいて、はつと踏《ふ》みとまつて、手《て》をあげた時《とき》、白《しろ》い指《ゆび》がかちりと鳴《な》つたのです。
私《わたし》は泣《な》きながら奥《おく》へはしりこみました。
[#改ページ]
阿波鳴門順礼歌《あはのなるとじゅんれいうた》
ふる里《さと》をはる/″\
こヽに紀三井寺《きみいでら》
前へ
次へ
全14ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
竹久 夢二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング