まさ》の紋《もん》とおんなじだとおもつたよ」
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ふくろう

梟《ふくろう》は何《なに》も言《い》はぬ。
世界中《せかいぢう》の子供《こども》がみんな眠《ねむ》つた時《とき》
お月様《つきさま》何《なに》してる、お星様《ほしさま》何《なに》してる。
夜《よる》、眼《め》の見《み》※[#「江」のくずし字、コマ7−右−4]る梟《ふくろう》は
知《し》つてるくせに何《なに》も言《い》はない。
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昔《むかし》、「う」のお母《かあ》さんが子供《こども》を産《う》む時《とき》、近所《きんじよ》に火事《くわじ》があつたんで、たべかけてゐた魚《さかな》を「う呑《のみ》」にして迯《にげ》だしたさうです。ほんとだかどうだか知《し》りません。うそだと思《おも》つたら先生《せんせい》に訊《き》いてごらん。先生《せんせい》が御存《ごぞん》じなかつたら「う」に聴《き》いてごらんなさい。
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ねこ

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黒猫「おまへさんなんざあ器量《きりよう》は好《い》いし、おとなしいから人《ひと》に可愛《かあい》がられて幸福《しあはせ》といふものさ」
斑猫「あらまあ、あんなことを、おなじ猫《ねこ》でも女《をんな》になんぞ生《うま》れてはつまりませんわ」
黒猫「どうしてなか/\、私《わたし》なんざあ、自分《じぶん》で自分《じぶん》の糊口《くちすぎ》をしなきやあならないんですからやりきれやせんや」
斑猫「それだから結構《けつこう》ですわ。夜《よる》なんかでも、あなたは毛色《けいろ》がお黒《くろ》いから鼻《はな》の頭《あたま》へ御飯粒《ごはんつぶ》をくつつけて口《くち》をあいてゐれば鼠《ねづ》さんは黒《くろ》い所《ところ》に白《しろ》いものがあるので喜《よろ》こんで食《た》べに来《く》ると食《た》べられるつていふぢやございませんか。そんなことはとても私《わたし》たちには出来《でき》ませんわ」
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べにすヾめ

雪《ゆき》の降《ふ》る日《ひ》は
べにす※[#濁点付きの二の字点、コマ10−右−2]め
紅《あか》い木《こ》の実《み》が
たべたさに
そつと出《で》て見《み》る
いぢらしさ。
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きつね

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太郎
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