外套
ニコライ・ゴーゴリ
平井肇訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)危殆《きたい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)保証|請合《うけあい》ですよ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》

*:注釈記号
 (底本では、直後の文字の右横に、ルビのように付く)
(例)*暦の別の個所を
−−

 ある省のある局に……しかし何局とはっきり言わないほうがいいだろう。おしなべて官房とか連隊とか事務局とか、一口にいえば、あらゆる役人階級ほど怒りっぽいものはないからである。今日では総じて自分一個が侮辱されても、なんぞやその社会全体が侮辱されでもしたように思いこむ癖がある。つい最近にも、どこの市だったかしかとは覚えていないが、さる警察署長から上申書が提出されて、その中には、国家の威令が危殆《きたい》に瀕していること、警察署長という神聖な肩書がむやみに濫用されていること等が明記されていたそうである。しか
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