ン、ペトゥローなる、二人の哥薩克ありけり。この両人はさながら真《まこと》の兄弟の如く睦みあひ、※[#始め二重括弧、1−2−54]やよイワン、何事に依らず、すべて二人で分ち合はん。二人のうちいづれかに喜びあらば、その喜びを互ひに分ち、いづれかに悲しみあらば、その悲しみを共にせん。一人が獲物を得たる時は、半ばを相手に分つべし。一人が敵に囚はれなば、財《たから》のすべてを売り払ひ、必らず友を身受せん。それも叶はぬ暁は共に囚虜の苦を嘗めん。※[#終わり二重括弧、1−2−55]げにそのとほり両人は、何にもあれ、贏ち得し財《たから》を分ちあひ、掠めし牛馬を等分せり。
☆
『折しもあれステパン王は、土耳古と戦端を開きしが、激戦すでに三週に及べども、如何せん敵を駆逐すること能はざりき。それに引きかへ土耳古軍には、十人の手勢にてよく一聯隊の敵を斬り伏せるてふ、勇猛果敢の将軍《パシャ》ありき。さても、ステパン王宣して曰はく、もしもかの将軍をば、生きながらにもせよ、死屍にもせよ、今わが面前に引き来る勇士あらば、全軍に賜ふべき食禄を彼一人に与ふべしと。※[#始め二重括弧、1−2−54]やよ兄弟
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