ニーロのために挙げた弔ひ合戦を忌々しく思つてゐるのだ。波蘭人の蒙つた損害は甚しかつた。あらゆる馬具《ばぐ》武具《もののぐ》に身を固めた四十四人の貴族が、三十三人の奴僕と共に斬り刻まれ、残りは馬ぐるみ捕虜になつて、韃靼人に売り渡されるため、護送されて行つた。
 魔法使《コルドゥーン》は焼けた切株のあひだの石段を降りて行つた。そこには地中ふかく穿たれた彼の地窖《あなぐら》があつた。彼はそつと、扉の音も密びやかに中へ入ると、布を掛けた卓子の上へ、一つの壺を置き、長い手を延ばして、何かえたいの知れぬ草をその中へ投げ入れた。そして、不思議な木の椀を手に持ち、唇を震はせて何やら呪文を唱へながら、水を掬つては、そそぎかけた。と、部屋の内にはパッと薔薇いろの光りがさして、その時の魔法使の顔は見るも物凄かつた。顔ぢゆうが真赤に上気して、ただ深い皺だけが黒く、眼はまるで火のやうに爛々と光つてゐた。無信仰な罪人め! もう疾《とう》に鬚は霜に蔽はれ、顔は皺だらけで、すつかり痩せさらばうた身を持ちながら、なほも神意に背いた悪計を企らみをるのだ。と、部屋のなかほどに白い雲がたちそめて、彼の顔には一種悦びに似た或る
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