これあ好かつたよ!」と、禿鷹が有卦に入つたやうな顔つきで彼女が言つた。「おやおや、そんなに、よく流して来なすつただねえ! 堅気な衆といふものは、いつでもかうなくつちやならないのさ。だが、ひよつと何処かでかつぱらつて来たんぢやあるまいね。さあ妾にお見せ、早くその袋を妾にお見せといつたら!」
「額の禿げあがつた悪魔なら知らぬこと、おいらは見せねえよ。」と、虚勢を張りながら教父《クーム》が言つた。
「お前さんに何の用があるだね?」と、織匠《はたや》も口を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]んだ。「これあお前さんのぢやなくつて、あつしたちが流して来たんだぜ。」
「いんにゃ、妾にお見せつたら、この碌でなしの呑み助野郎め!」さう呶鳴るといつしよに、女房は、のつぽの教父《クーム》の顎へ拳骨を一つ喰はせておいて、いきなり袋へ飛びかかつた。
 しかし織匠《はたや》と教父《クーム》は勇敢にも袋をかばつて、彼女を遮二無二後ろへ突き戻した。だが、二人がほつとする暇もなく、女房は土間へ降りて、火掻棒を手にしてゐた。そして逸早く亭主の両手と、織匠《はたや》の背中とへ火掻棒で一撃
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