とっ走《ぱし》り家へ行つて、橇を取つて来て、橇に積んで運びませうよ。」
 そこで一同は橇を取りに駈け出して行つた。
 捕虜たちには袋の中にちぢこまつてゐるのがひどく退屈になつた。尤も補祭は密かに指でかなり大きな穴を開けたので、もう少し人気《ひとけ》さへなかつたなら、或は機会《をり》を見て這ひ出してゐたかも知れないが、人前で袋の中から這ひ出したりしては、いい笑ひものになるから……と考へて彼は思ひとまつた。で彼は、チューブの不躾けな長靴の下で、じつと息を殺しながら、時の来るのを待つことに覚悟をきめた。チューブはまたチューブで、自分の足の下に、何か恐ろしく腰かけてゐるのにぎこちないもののあることに気がついて、これまた少なからず、自由の身になることを望んでゐた。ところが今、自分の娘の下《くだ》した決議を耳にすると、すつかり安心してしまつて、どうせ自分の家までは少くとも百歩なり、二百歩なり歩かねばならないのだからと考へて、袋から這ひ出すことを思ひとまつた。いま這ひ出したりすれば、みなりは直さねばならず、裘衣《コジューフ》の釦を掛けたり、帯を締め直したり――いやはや、どれだけ面倒な仕事があることだ
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