してるのよ。」かう、陽気な唄うたひを終つて帰りがけの娘たちが、笑ひながら、彼の後ろから喚きたてた。「あんたの家、をしへてあげようか?」
「うん、教へてくんろよ、親切な姐さんたち!」
「まあ、親切な姐さんたちだつて? ねえ、みんな聞いて?」さう、そのなかの一人が言葉尻を捉へた。「なんてカレーニクさんのお世辞のいいこと! これぢやあ、家を教へてあげない訳にはいかないわね……でも駄目よ、その前に一ぺん踊んなさいな。」
「踊れ?……ちえつ、なかなか隅におけねえあまつ子たちだ!」かう、間伸びのした口をききながら、カレーニクはにやにやして、指をあげて嚇したが、足はひとところにじつとしてゐないで、あちらこちらへふらふらとよろめいた。「それぢやあ接吻《なめ》させるけえ? お前《めえ》らみんな接吻《なめ》てやらあ!……」さう言つて、よろよろした足どりで娘たちの後ろを追つかけはじめた。娘たちは金切り声をあげて跳びすさつたが、カレーニクの足どりのあまり疾くないのを見てとると、勇気を盛りかへして、往還を横ぎつて向ふ側へ渡つた。
「ほら、あれがあんたのおうちよ!」娘たちは遠ざかりながら、ほかの家とは図抜けて大き
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