え? それあね、何といつたつて今時この妾の部屋着《カポート》のやうな丈夫な布《きれ》は、なかなか見つけようたつて見つかるものぢやないけれどさ。それは兎も角、お前さんはその娘に、その、何か、お話をおしだつたかえ?」
「と仰つしやるとつまり、何ですか……僕がその、ねえ叔母さん? その、ひよつと叔母さんは、もうそんな風に……。」
「何がどうしたとお言ひなんだえ? 別に不思議なことがあるものか? それが神様のお思召なのさ! 若しかしたらお前さんとその娘とは、前《さき》の世から一緒になるやうに定まつてゐたのかもしれないよ。」
「何だつて叔母さんはそんな風に仰つしやるのか、とんと僕には分りませんよ。それが、この僕といふものをちつとも御存じない証拠ですよ……。」
「そうら、もう腹を立ててるんだよ!」と、叔母さんは言つた。※[#始め二重括弧、1−2−54]ほんとにまだ、からつきしのねんねえだ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、彼女は心の中で呟やいた。※[#始め二重括弧、1−2−54]何にも知らないんだよ! これは一つ、両人《ふたり》をいつしよにしてやらなきやならん。先づ第一に馴染みにしてやらなく
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