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ブラーガ 白色を帯び、ビールに似た、下等な酒精飲料。又、ビール醸造用の麦芽汁の醗酵したものもブラーガと呼ぶ。
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つひに、中尉に昇進して退職の許可を得たイワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチは、*マギリョーフからガデャーチまで四十|留《ルーブリ》の約束で猶太人の馭者を傭つて、幌馬車の中に座を占めた。時あたかも樹々の小枝に新緑の若葉もなほ疎らに、大地のすべてが鮮やかにすがすがしい青草に蔽はれ初め、野辺の到る処に春の息吹の感じられる頃であつた。
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マギリョーフ マギリョフスカヤ県の首都。ドニェープルに臨んだ河港。
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二 道中
道中には、さして目覚しい出来ごともなかつた。彼はもう二週間あまり旅をつづけてゐた。恐らく、それよりずつと前にイワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチは村へ帰り著いてゐた筈であるが、信心ぶかい馭者の猶太人が土曜日ごとに安息日を守り、馬衣に身を包《くる》んで、一日ぢゆ
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