が青ずんで見え、リマーンの彼方には黒海が波を湛へてゐる。また曾て一度行つたことのある人達には、クリミヤ半島が山のやうに海面から頭をもたげてゐるのや、*シワーシュの入江がそれと認められた。
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リマーンの砂洲 南部露西亜に於ける大河の河口にある砂洲または沼沢地の名称。
シワーシュの入江 クリミヤ半島の東岸にある細長い帯状の陸地に依つてアゾフ海より距てられた内海。
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「あれはいつたい何だね?」と、蝟集した群衆が、遥かかなたの空に仄かに見える、雲かとも見紛ふ、灰いろや雪白の峯々を指さしながら、老人連に訊ねた。
「あれはカルパシヤ山脈ぢや!」と、老人たちが答へた。「あの山の中には永世、雪が消えず、いつも雲のかかつてをる峯もあるのぢや。」
 この時、また新らしい奇蹟が起つた。その一番高い山にかかつてゐた雲が飛び散ると、その頂きに、騎士の甲冑に身を固めて馬上に跨がりながら瞑目してゐる人物の姿が現はれたのだ。然も、それがつい目と鼻の先に立つてゐるやうに、まざまざと見えるのである。
 その時、怖れと驚ろきに打たれた群衆のあひだから、一人の
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