は痛く心を打たれずにはゐられなかつた。もう、すつかり困憊しつくしたカテリーナは、自分ではゴルリッツァを踊つてゐるつもりでも、懶《ものう》げにひとつところで足踏をしてゐるだけであつた。
「若い衆さん、そら、あたし頸飾を掛けてるでしよ!」と、やがて彼女は踊りをやめて言つた。「でも、あんた達には、ないのね!……うちのひとは何処にゐて?」彼女は不意に帯の間から土耳古製の短劔を取り出しながら叫んだ。「ああ、この刀では駄目よ。」かういふと同時に、涙をはらはらとこぼし、顔には悲哀の色を浮かべて、「あたしの父の心臓はとても深くて、こんな短劔では刺しとほすことも出来ないわ。それにあの人の心臓は鉄で出来てゐるの、あの妖女《ウェーヂマ》が地獄の火で打つてやつたのさ。どうしてお父さんは来ないんだらう? もう疾《とう》に殺される時なのに、それを知らないのかしら。こちらから出かけて行くのを、待つてるのかも……」かう、言ひ終へないで、彼女は妙な笑ひ声を立てた。「わたし、とても面白い物語《おはなし》を思ひ出したわ。あたし、良人《うちのひと》が埋められた時のことを思ひ出したの。だつて、彼《あのひと》は生きたままで埋めら
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