、足を踏みすべらして、墜落したのだ。お前は驚きのあまり幸子の安否を見届けることもしないで、逃げ帰ったではないか。幸子は、あの崖の途中の突端にほんのちよっと袖を引っかけただけで、真直ぐに落ち込んでしまったのだ。お前が、彼女を殺さなかったと同様に、僕も決して彼女を殺しはしなかった。だが、とにかくこの勝負はどうやらお前の勝らしいね。……安心して眠るがいい。」



底本:「アンドロギュノスの裔」薔薇十字社
   1970(昭和45)年9月1日初版発行
初出:「新青年」1928年10月
入力:森下祐行
校正:もりみつじゅんじ
2000年7月25日公開
2007年11月21日修正
青空文庫作成ファイル:
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