て居る夜中

あけがたとろりとした時の夢であつたよ
(あけがたとろりした時の夢であつたよ)

おそい月が町からしめ出されてゐる
(をそい月が町からしめ出されてゐる)

わが肩につかまつて居る人に眼がない

蓮の葉押しわけて出て咲いた花の朝だ

切られる花を病人見てゐる

お祭り赤ン坊寝させてゐる
(お祭り赤ン坊寝てゐる)

陽が出る前の濡れた烏とんでる

蜥蜴の切れた尾がはねてゐる太陽

お遍路木槿の花をほめる杖つく

病人花活けるほどになりし
(病人花活ける程になりし)

朝靄豚が出てくる人が出てくる
(朝靄豚が出て来る人が出て来る)

迷つて来たまんまの犬で居る

すでに秋の山山となり机に迫り来
(已に秋の山山となり机に迫り来)

久し振りの雨の雨だれの音

都のはやりうたうたつて島のあめ売り

障子あけて置く海も暮れきる
(障子あけて置く海も暮れ切る)

あらしがすつかり青空にしてしまつた

淋しきままに熱さめて居り

淋しい寝る本がない

月夜風ある一人咳して

お粥煮えてくる音の鍋ぶた
(お粥煮えてくる音の鍋ふた)

一つ二つ螢見てたづぬる家

爪切つたゆびが十本ある

鳳仙
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