容易《たやす》く云ふを得ない。近くばストームを見よ、などと、我輩を攻撃するかも知れないが、我輩は尚、君等の説に、賛成する事は出来ない。酒を呑まぬ人間とは、即酒を呑んでも呑めない、遂に酒の味を解する事が出来ない人間であるから、こんな人間は、酒に付て、かれこれ云ふ資格の無い者である。盲目は遂に向島の桜を語る可からずだ。一寸、云つて置きたいのは、酒を呑むと云ふ事と、大酒をすると云ふ事を混用してもらつては困るよ。過度と云ふ事は、総てに於ていかん。豈独酒のみならんやだ。それから、君等が云ふ酒が身体等に及ぼす害だ。此の害と云ふ奴も、随分六かしい説明を要する事だらうと思ふが、少なくとも、僕の知つてる処では、酒(大酒ぢやないよ)は、決して吾々の身体に、害を及ぼさないと確信して居る。医師が云ふ事などは勿論、吾々の眼中に無い。と云つて、頑冥インノセントブライド野蛮人、ガリ/\亡者と思つては困る。要するに、医師と云ふ者は、出来る丈命を延ばしたいと云ふ処を目的として、割出すによつて、少しでも身体に、害になりさうな奴は、ドシ/\、否定してしまふのだ。しかし吾々人間が、如何なる状態に於てもかまはず、匍つて居ても、
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