ゑのさりゆくかたは
そのこゑのさりゆくかたは、
ただしろく いのりのなかにしづむ。
朝の波
――伊豆山にて――
なにかしら ぬれてゐるこころで
わたしは とほい波と波とのなかにさまよひ、
もりあがる ひかりのはてなさにおぼれてゐる。
まぶしいさざなみの草、
おもひの縁《ふち》に くづれてくる ひかりのどよもし、
おほうなばらは おほどかに
わたしのむねに ひかりのはねをたたいてゐる。
白い階段
かげは わたしの身をさらず、
くさむらにうつらふ足長蜂《あしながばち》の羽鳴《はなり》のやうに、
火をつくり ほのほをつくり、
また うたたねのとほいしとねをつくり、
やすみなくながれながれて、
わたしのこころのうへに、
しろいきざはしをつくる。
しろい火の姿
わたしは 日のはなのなかにゐる。
わたしは おもひもなく こともなく 時のながれにしたがつて、
とほい あなたのことに おぼれてゐる。
あるときは ややうすらぐやうにおもふけれど、
それは とほりゆく 昨日《きのふ》のけはひで、
まことは いつの世に消えるともない
たましひから たましひへ つながつてゆ
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