、ずいぶんの金高《かねだか》だ、これは、わたしがもらっておこう。みたまえ、剱をもらって来て、いいことをしたろうがね。」
こういって、旅なかまは、ただひとうち、死んだはくちょう[#「はくちょう」に傍点]のつばさを切りおとして、それをじぶんのものにしました。
さて、ふたりは山を越えて、またむこうへなん里もなん里も旅をつづけていくうちに、とうとう、大きな町のみえる所に来ました。その町にはなん百とない塔がならんで、お日さまの光のなかで、銀のようにきらきらしていました。町のまんなかには、りっぱな大理石のお城があって、赤い金で屋根が葺《ふ》けていました。これが王さまのお住居《すまい》でした。
ヨハンネスと旅なかまとは、すぐ町にはいろうとはしないで、町の入口で宿をとりました。ここで旅のあかをおとしておいて、さっぱりしたようすになって、町の往来をあるこうというのです。宿屋のていしゅの話では、王さまという人は、心のやさしい、それはいいひとで、ついぞ人民に非道《ひどう》をはたらいたことはありません。ところがその王さまのむすめというのが、やれやれ、なさけないことにひどいわるもののお姫さまだというのです
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