リーザをのせたまま、王さまは山のなかを馬でかけていきました。武士たちも、すぐそのあとにつづいてかけていきました。
[#挿絵(fig42384_03.png)入る]
お日さまがしずんだとき、うつくしい王さまの都が目のまえにあらわれました。お寺や塔がたくさんそこにならんでいました。やがて、王さまはエリーザをつれてお城にかえりました。
そこの高い大理石の大広間には、大きな噴水がふきだしていました。壁と天井《てんじょう》には目のさめるような絵がかざってありました。けれども、エリーザににそんなものは目にはいりませんでした。ただ泣いて、泣いて、せつながってばかりいました。そうしてただ、召使の女たちにされるままに、お妃さまの着る服を着せられ、髪に真珠《しんじゅ》の飾をつけて、やけどだらけの指に絹の手袋をはめました。
エリーザがすっかりりっぱにしたくができて、そこにあらわれますと、それは目のくらむようなうつくしさでしたから、お城の役人たちは、ひとしおていねいにあたまをさげました。そこで王さまは、エリーザをお妃《きさき》に立てようとしました、そのなかでひとり、この国の坊さまたちのかしらの大僧正《だ
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