すんで来ました。王さまはうまれてまだ、こんなうつくしいむすめをみたことがなかったのです。
「かわいらしい子だね。どうしてこんなところへ来ているの。」と、王さまはおたずねになりました。
エリーザは首をふりました。口をきいてはたいへんです。おにいさまたちがすくわれなくなって、おまけにいのちをうしなわなければなりません。そうして、エリーザは両手を前掛の下にかくしました。痛めている手を王さまにみられまいとしたのです。
「わたしといっしょにおいで。」と、王さまはいいました。「おまえはこんなところにいる人ではない。おまえの顔がうつくしいように、心もやさしいむすめだったら、わたしはおまえにびろうどと絹の着物をきせて、金のかんむりをあたまにのせてあげよう。そうして、おまえは世にもりっぱなわたしのお城に住んで、この国の女王になるのだよ。」
こういって、王さまはエリーザを、じぶんの馬のうえにのせました。エリーザは泣いて両手をもみました。けれども王さまはこうおっしゃるだけでした。
「わたしは、ただおまえの幸福をのぞんでいるだけだ。いつかおまえはわたしに礼をいうようになろう。」
それで、じぶんのまえにエ
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