ニの大さ、美しさかくまでならずば、我胸の躍ることさへ治りしならん。床は鏡の如き大理石なり。壁といふ壁には、めでたき畫を貼《てふ》したり。その間々には、玻※[#「王+黎」、第3水準1−88−35]《はり》鏡を嵌《は》め、その上に花束、はなの環など持たる神童の飛行せるを畫きたり。又色美しき鳥の、翼を放ちて、赤き、黄なる、さま/″\の木の實を啄《ついば》めるを畫きたるあり。かく華やかなるものをば、今まで見しことあらざりき。
 暫し待つほどに、あるじの君出でましぬ。白衣着たる、美しき貴婦人の、大なる敏《さと》き目を我等に注ぎたるを、伴ひ給へり。婦人は我額髮を撫で上げ、鋭けれども優しき目にて、我面を打ち守り、さなり、君を助けしは神のみつかひなり、この見ぐるしき衣の下に、翼はかくれたるべしと宣《のたま》ひぬ。主人。否、この兒の紅なる頬を見給へ。翼の生ゆるまでにはテヱエル[#「テヱエル」に二重傍線]の河波あまた海に入るならん。母もこの兒の飛び去らんをば願はざるべし。さにあらずや。この兒を失はんことは、つらかるべし。媼。げにこの兒あらずなりなば、我小家の戸も窓も塞がりたるやうなる心地やせん。我小家は暗
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