T線]の遠からず來りて病を瞻《み》るべきを告げたり。或日家の内騷がしく、人の到着しつと覺しきさまなりしに、忽ちロオザ[#「ロオザ」に傍線]は吾前に來ぬ。その面には憂の色を帶びたり。その日の暮つかた、われは家内《やぬち》の又さきにも増して物騷がしきを覺え、側なる奴婢《ぬひ》に問はんとするに、一人として我に答ふるものなし。階下の室には人多くゆききする足音《あのと》頻《しきり》に、屋外の大渠《たいきよ》には小舟の梶音《かぢのと》賑はしかりき。われは暫し目蕩《まどろ》みしに、ふとマリア[#「マリア」に傍線]の死せることを知り得たり。さきにはポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]我にマリア[#「マリア」に傍線]の病を告げて、その病は※[#「やまいだれ+差」、第4水準2−81−66]《い》えぬと云へり。されど病は再發して、マリア[#「マリア」に傍線]は既に死し、家人は我に祕して、こよひそを葬るなり。われは明かにロオザ[#「ロオザ」に傍線]の祈祷の聲を聞き、マリア[#「マリア」に傍線]の菫花もて飾れる棺は明かに心目の前にあらはれぬ。忽ち我は病の既に去りて力の既に復せるを感じ、蹶然《けつぜん》として臥床《ふ
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