ハを射て白光身を繞《めぐ》り、ここの塔かしこの龕《がん》を見めぐらせば、宛然《さながら》立ちて一の大逵《ひろば》に在るごとし。許多《あまた》の聖者《しやうじや》獻身者の像にして、下より望み見るべからざるものは、新に我|目前《まのあたり》に露呈し來れり。われは絶頂なる救世主の巨像の下に到りぬ。ミラノ[#「ミラノ」に二重傍線]全都の人烟は螺紋《らもん》の如く我脚底に畫かれたり。北には暗黒なるアルピイ[#「アルピイ」に二重傍線]の山聳え、南には稍※[#二の字点、1−2−22]低き藍色のアペンニノ[#「アペンニノ」に二重傍線]横はりて、此間を填《うづ》むるものは、唯だ緑なる郊原のみ。譬へばカムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]の野を變じて一の花卉《くわき》多き園囿《ゑんいう》となしたらんが如し。われは眦《まなじり》を決して東のかたヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]を望みたるに、一群の飛鳥ありて、列を成してかなたへ飛び行くさま、一片の帛《きぬ》の風に翻弄せらるゝに似たり。われはマリア[#「マリア」に傍線]を憶ひ、ロオザ[#「ロオザ」に傍線]を憶ひ、ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]を憶へり。昔
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