フ市人《いちびと》の石榻《せきたふ》に坐せるさまは、猶|古《いにしへ》のごとくにて、演ずる所の曲をば、「ラ、ジエネレントオラ」と題せり。役者の群は、ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]にて見しアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が組なりき。アウレリア[#「アウレリア」に傍線]はこよひも此樂曲の主人公に扮したり。一|張《はり》の「コントルバス」に氣壓《けお》さるゝ若干の管絃なれど、聽衆は喝采の聲を惜まざりき。趨《はし》りて場を出づれば、月光|遍《あまね》く照して一塵動かず、古の劇場の石壁石柱は※[#「山/歸」、第3水準1−47−93]然《きぜん》として、今の破《や》れ小屋のあなたに存じ、廣大なる黒影を地上に印せり。
我はカプレツチイ[#「カプレツチイ」に傍線]第《だい》を訪ひぬ。昔カプレツチイ[#「カプレツチイ」に傍線]、モンテキイ[#「モンテキイ」に傍線]の二豪族相爭ひて、少年少女の熱情を遮り斷ちしに、死は能くその合ふべからざるものを合せ得たり。シエエクスピイア[#「シエエクスピイア」に傍線]がものしつる「ロメオ、エンド、ジユリエツト」の曲即ち是なり。此第はロメオ[#「ロメオ」に
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