ュ君の行方を知らず、人に問へども能く答ふるもの候はざりき。數日の後、怪しきおうな尋ね來て、一ひらの紙を我手にわたすを見れば、まがふ方なき君の手跡にて、拿破里《ナポリ》に往くと認《したゝ》めあり、御名をさへ書添へ給へれば、おうなの云ふに任せて、旅行劵と路用の金とをわたし候ひぬ。旅行劵はベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]に仔細を語りて、をぢなる議官《セナトオレ》に求めさせしものに候、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は事のむづかしきを知りながら、我言を納《い》れて、強ひてをぢ君を説き動しゝ趣に候。幾《いくばく》もあらぬに、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]が痍《きず》は名殘《なごり》なく癒《い》え候ひぬ。彼人も君の御上をば、いたく氣遺《きづかひ》居たれば必ず惡しき人と御思ひ做《な》しなさるまじく候。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は痍の痊《い》えし後、我身を愛する由聞え候ひしかど、私はその僞ならぬを覺《さと》りながら、君をおもふ心よりうべなひ候はざりき。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は羅馬を去り候ひぬ。私は直ちに拿破里をさして旅立候ひしに、君も知らせ給ひ
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