ヘ屋内《やぬち》に殊ならざりき。神よ。おん身の造り給ふところのものゝ中に、かゝる不幸もありけるよと、獨り泣きつゝ我は叫びぬ。此夜は家に返りて些の眠をだに得ずして止みぬ。
翌日《あくるひ》はわれアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が爲めに百千《もゝち》の計畫を成就《じやうじゆ》し、百千の計畫を破壞して、終には身の甲斐《かひ》なさを歎くのみなりき。嗚呼、われは素《も》とカムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]の野の棄兒なり。羅馬の貴人《あてびと》は我を霑《うるほ》す雨露に似て、實は我を縛《ばく》する繩索《じようさく》なりき。恃《たの》むところは單《た》だ一の技藝にして、若し意を決して、これによりて身を立てんとせば、成就の望なきにしもあらず。されども技藝の聲價、技藝の光榮は、縱令《よしや》其極處に詣《いた》らんも、昔のアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が境遇の上に出づべくもあらず。而るにそのアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が末路は奈何《いか》なりしぞ。假に彩虹の色をやどしつゝ飛泉の水の、末はポンチニ[#「ポンチニ」に二重傍線]の沼澤に沈み去るにも似たらずや。
思慮はたゞ
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