d傍線]の少年紳士にして君を羨まぬものはあらじ。人々は遠距離にありてだに心《むね》に傷《て》を負へるを、君は敵の陣地に入ることなれば、注意して自ら護《まも》り給へといふ。市長の姪の去りしには、座客氣付きぬれど、皆その心の優しきこと姿の美しきにかはらずとて、讚め稱へて已まざりき。
 善行は心に光明を與ふ。われは久しぶりに心の中の快活を感じて、ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]と杯を※[#「石+並」、第3水準1−89−8]《うちあは》せ、此より兄弟の如くならんことを誓ひぬ。家に歸りしは夜半なりき。直ちに眠に就《つ》くべき心地ならねば、窓に坐して清風明月に對せり。渠水《きよすゐ》波なく、古宮空しく聳ゆる處、我が爲めには神話中の夢幻界を現じ來れり。我は兒童の如く合掌して祈祷したり。父よ、我諸惡を免《ゆる》せ。我に氣力を賦《ふ》して善良の人たることを得しめよ、我をして些の羞慚《しうざん》の心なく、彼尼院中なるフラミニア[#「フラミニア」に傍線]を懷ふことを得しめよ。
 翌朝は身極めて爽快なりき。我は舟人を喚びて市長《ボデスタ》の家に往くことを命ぜしに、舟人そのオテルロ[#「オテルロ」に傍線]宮(パ
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