vに傍線]。ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]第一の美人なり。市長《ボデスタ》の姪なり。一の老婦人ありて我に歩み近づきて、君は最早我を忘れ給ひしか、そは理《ことわり》なきにあらず、唯だ一たび相見てより後、年あまた經ぬればと云ひつゝ、我に手をさし伸べたり。われ、一たび相見しことある御方とは知れど、何時何處にての事ともおもひ定め難しといふに、老婦人、我|同胞《はらから》は醫師《くすし》にて拿破里《ナポリ》に居たり、君はボルゲエゼ[#「ボルゲエゼ」に傍線]家の公子と共に弟を訪《おとな》ひ給ひぬといふ。われ。まことに宣給ふ如し。こゝにて逢ひまつらんとは思ひ掛けざりしなり。老婦人。拿破里の弟は妻なかりし故、われに家政をとりまかなはせしに、四とせ前にみまかりぬ。今はこゝなる兄の許に住めり。我姪はその性《さが》人と殊なれば、一たび家に歸らんといひ出でゝは、思ひ留まるべくもあらず、又こそ御目にかゝらめとて、老婦人は出で去りぬ。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]は再び我にさゝやくやう。かへすがへすも幸ある友よ。市長の妹の君が相識にて、君と再會を約せしは願ひてもなき事ならずや。ヱネチア[#「ヱネチア」に二
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