]市を擔ひ行くなる「ベフアアナ」といふ偶人《にんぎやう》の、面色極めて奇醜にして、目には硝子球を嵌《は》めたるにも譬へつべきものとなりぬ。是れ聽衆の口々より※[#「口+罅のつくり」、122−上段−20]《は》きたる毒氣のわが美の影圖をして此の如く變化せしめしにぞありける。
 おん身のダヰツト[#「ダヰツト」に傍線]は市井《しせい》の俗人をだに殺すことなからん、とはハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]が總評なりき。人々は又評して宣給ふやう。篇中往々好き處なきにあらず。そは情深きと無邪氣なるとの二つに本づけりとなり。我は頭を低《た》れて口に一語を出さず、罪囚の刑の宣告を受くるやうなる心地にて、人々の前に凝立せり。ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]は再びホラチウス[#「ホラチウス」に傍線]の教を忘れ給ふなと繰返しつゝも、猶|慇懃《いんぎん》に我手を握りて、詩人よ、懋《つと》めよやと云ひぬ。我は室の一隅に退きたりしが、暫しありて同じハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]が耳疎き人の癖とて、聲高くフアビアニ[#「フアビアニ」に傍線]公子にさゝやく
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