B身の周圍なる事々物々、皆我を慰むるものに似たり。又我心は一夜の間に老成人となりたるを覺えぬ。そは喝采の雨露の我性命樹上に墜ちて、其果實を熟せしめたるにやあらん。われは昨夜サンタ[#「サンタ」に傍線]の劇場にありしを知る。いでや往きて彼夫人をたづね、その讚詞をも受けてましと、足の運《はこび》も常より輕く、マレツチイ[#「マレツチイ」に傍線]博士の家に往きぬ。博士は繰り返しつゝよろこびを陳《の》べて、さてその妻の劇場より歸りし後夜もすがら熱に惱みしを告げたり。又|曰《い》ふ、今は眠れり、眠|醒《さ》めなば必ず快きに至るならん、夕暮に再び訪ひ給へと。午餐にはフエデリゴ[#「フエデリゴ」に傍線]新に獲たる友だちと、我を誘ひ出して酒店《さかみせ》に至り、初め白き基督涙號《ラクリメエ、クリスチイ》を傾け、次いで赤き「カラブリア」號を倒し、わが最早え飮まずと辭《いな》むに※[#「二点しんにょう+台」、第3水準1−92−53]《およ》びて、さらば三鞭酒《シヤンパニエ》もて熱を下《さま》せなどいひ、歡《よろこび》を盡して別れぬ。街《ちまた》に歩み出づれば、大空は照りかゞやきぬ。そはヱズヰオ[#「ヱズヰ
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