泄焉sそゞろあるき》して、汝が目の赤きを風に吹き消させ、さて共にマレツチイ[#「マレツチイ」に傍線]夫人の許に往かん。夫人は汝と共に笑ひ共に泣きて、汝が厭ふをも知らぬなるべし。こは我が能くせざるところにして夫人の能くするところなり。いざ/\と勸めつゝ、友は我を拉《ひ》きて街上を行き巡り、遂に博士の家に入りぬ。
 夫人は出で迎へて、好くこそ來給ひたれ、君等の定《さだめ》の日を待たで來給はんは何時《いつ》なるべきと、兼ねてより思ひ居たりといふ。友。わがアントニオ[#「アントニオ」に傍線]は又例の物の哀《あはれ》といふものに襲はれ居れば、そを少し爽かなる方に向はせんは、おん宅ならではと思ひて參りしなり。明日は共にエルコラノ[#「エルコラノ」に二重傍線]とポムペイ[#「ポムペイ」に二重傍線]とに往きて、ヱズヰオ[#「ヱズヰオ」に二重傍線]の山にも登らんとす。折好く噴火の壯觀あれかしと願ふのみといふ。博士聞きて友に對《むか》ひて云ふやう。そはいと好き消遣《せうけん》の法なり。われも暇《いとま》あらば共にこそ往かまほしけれ。ヱズヰオ[#「ヱズヰオ」に二重傍線]に登らんは煩《わづら》はしけれど、ポム
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