f《ひ》き倒すならん。夫人打ち笑ひて、そは好き見ものなるべしといひつゝ、フエデリゴ[#「フエデリゴ」に傍線]の方に進み近づき、直ちに伴ひて舞の群に入りぬ。小男は我を顧みて、氣輕なる女なり、されど貌《かほ》は醜からず、さは思ひ給はずやといふに、我はまことに仰《おほせ》の如く、めでたき姿なりと讚め稱《たゝ》へき。此よりいかなる話の運《はこび》なりしか知らねど、我等二人は忽ち又古のエトルリヤ[#「エトルリヤ」に二重傍線]人(昔羅馬の北に住みし民)の遺しゝ陶器《すゑもの》の事を論ぜざるべからざることゝなりぬ。彼は此地の聚珍館内なる瓶《へい》又は壺の數々を擧げて、これに畫きし畫工に説き及ぼし、次いでその畫工の技巧を辯明したり。此等の陶畫《すゑものゑ》は、皆濕に乘じて筆を用ゐるものなれば、一點一畫と雖、漫然これを下すべきにあらずなど云へり。彼は猶其|詳《つまびらか》なるを教へんために、不日我を聚珍館に連れ往かんと約せり。
 夫人は再び我前に來て、さては論文はまだ結局とならぬにや、以下次號とし給へと呼び、急に我手を把《と》りて拉《ひ》き去りつゝ、聲を低うして云ふやう。おん身は餘りに人|好《よ》きには
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