カゆ》は始まりぬ。(絃歌に先だちて十五章の讀誦あり。壇上に巨燭十五|枝《し》を燃やしおきて、一章終るごとに一燭を滅す。)われは心を死せる文字の間に濳むること能はず、魂を彼のミケランジエロ[#「ミケランジエロ」に傍線]が世に罕《まれ》なる丹青の力もて此堂の天井と四壁とに現ぜしめたる幻界に馳せたり。その活けるが如き預言者等の形は一個々皆大册の藝術論の資をなすに餘あるべし。その力量ある容貌風采とこれを圍める美しき羽ある兒《ちご》の群とは、我眼を引くこと磁石の鐵を引く如くなりき。こは畫にあらず。活ける神人なり。エワ[#「エワ」に傍線]が果《このみ》を夫に贈りし智慧の木は鬱蒼として彼處《かしこ》に立てり。父なる神は、古の畫工の作れる如く羽ある童に擔はれたるにはあらで、その肢體の上、その風に翻《ひるがへ》る衣裳の上に、許多《あまた》の羽ある童を載せつゝ、水の上を天翔《あまかけ》り給ふ。われはけふ始めて此畫を觀たるにあらず。されど此畫の我心を動かすこと今日の如きは未だ有らず。われはけふの群集のためにや、わが熱したる情のためにや知らねど、此畫中に限なき詩趣あるを認めたり。或は想ふにこは我が抒情の興多き
前へ
次へ
全674ページ中241ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
アンデルセン ハンス・クリスチャン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング