ヘいつしか夢の如くに過ぎ去りぬ。されどこの間われは遺憾なくこのまつりの興を受用し盡せり。そはアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が我に賦《ふ》したる樂天主義の賜《たまもの》なりき。或時ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]のいふやう。汝はやうやくまことの男とならんとす。われ等に變らぬ眞の男とならんとす。されど汝はまだ唇を杯の縁にあてしに過ぎず。我は明かに知る、汝が唇の未だ曾て女子の口に觸れず、汝が頭の女子の肩に倚《よ》らざるを。今若しアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]まことに汝を愛せばいかに。我。思ひも掛けぬ事かな。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]は我が僅に能く仰ぎ見るものゝ名にして、我手の屆くべきものゝ名にあらず。彼。あらず。高くもあれ低くもあれ、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]とは女子の名なり。汝は詩人にあらずや。詩人は測るべからざる性あるものなり。その女子の胸の片隅を占むるや、その奧に進むべき鍵は、詩人の手にあるものぞ。我。姫がやさしさ、賢《さか》しさ、姫が藝術のすぐれたるをこそ慕へ。これに戀せんなどとは、われ實に夢にだにおもひしことなし。彼。汝が眞面
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