Zにて結びし氷今融くるなるべし。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が何を云ひしと問ふか。彼少女は粗暴なる少年に車を挽《ひ》かれて、且《かつ》は懼《おそ》れ且は喜びたりき。彼少女は面紗《めんさ》を緊《きび》しく引締めて、身をば車の片隅に寄せ居たり。我は途すがらかゝる美しき少女に言ふべきことの限を言ひしかど、彼は車を下るとき我がさし伸べたる手にだに觸れざりき。われ。汝が大膽なることよ。汝は歌女と相識れるにあらずして、よくもさまで馴々しくはもてなしゝよ。こは我が決して敢てせざる所ぞ。友。我もさこそ思へ。汝は世の中を知らず、又女の上を知らねばなり。今日はかの女いまだ我に答へざりしかど、我には猶多少の利益あり。そは少女が我面を認めたることなり。我友はこれより我にさきの詩を誦《ず》せしめて聞き、頗妙なり、羅馬日記《ヂアリオ、ロオマ》に刻するに足ると稱へき。我等二人は杯を擧げてアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が壽《ことほぎ》をなしたり。我等のめぐりなる客も皆歌女の上を語りて口々に之を讚め居たり。
 我がベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]に別れて家に歸りしは、夜ふけて後なりき。床に
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