ァてり。その歌は沈みてその聲は重く、忽ちにして又激越悲壯なり。同胞《はらから》なるアンナア[#「アンナア」に傍線]が彼を焚かんとて積み累《かさ》ねたる薪は今燃え上れり。幕は下りぬ。喝采の聲は暴風の如くなりき。歌女はその色と聲とを以て滿場の客を狂せしめたるなり。觀棚《さじき》よりも土間よりも、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]と呼ぶ聲|頻《しきり》なり。幕上りて歌女出でたり。その羞《はじらひ》を含める姿は故《もと》の如くなりき。男は其名を呼び、女は紛※[#「巾+兌」、47−下段−24]《てふき》を振りたり。花束の雨はその頭《かうべ》の上に降れり。幕再び下りしに、呼ぶ聲いよ/\劇《はげ》しかりき。こたびはエネエアス[#「エネエアス」に傍線]に扮せし男優と並びて出でたり。幕三たび下りしに、呼ぶ聲いよ/\劇しかりき。こたびはすべての俳優を伴ひ出でぬ。幕四たび下りしに、呼ぶ聲猶劇しかりき。こたびはアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]又ひとり出でて短き謝辭を陳《の》べたり。此時我詩は花束と共に歌女が足の下に飛べり。呼ぶ聲は未だ遏《や》まねど、幕は
前へ
次へ
全674ページ中191ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
アンデルセン ハンス・クリスチャン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング