sわす》るべからざる夕となりぬ。我|羅馬日記《ヂアリオ、ロマノ》を披《ひら》けば、けふの二月三日の四字に重圈を施したるを見る。想ふにベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]如《も》し日記を作らば、また我筆に倣《なら》はざることを得ざるならん。そも/\「アルベルトオ」座といへるは、羅馬の都に數多き樂劇部の中にて最大なるものなり。飛行の詩神を畫ける仰塵《プラフオン》、オリユムポス[#「オリユムポス」に二重傍線]の圖を寫したる幕、黄金を鏤《ちりば》めたる觀棚《さじき》など、當時は猶新なりき。棚《さじき》ごとに壁に鉤《かぎ》して燭を立てたれば、場内には光の波を湧かしたり。女客の來て座を占むるあれば、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]必ずその月旦を怠ることなし。
 開場の樂(ウヱルチユウル)は始りぬ。こは音を以て言に代へたる全曲の敍《じよ》と看做《みな》さるべきものなり。狂※[#「風にょう+(犬/(犬+犬))、第4水準2−92−41]《きやうへう》波を鞭《むちう》ちてエネエアス[#「エネエアス」に傍線]はリユビア[#「リユビア」に二重傍線]の瀲《なぎさ》に漂へり。風波に駭《おどろ》きし叫號
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