梔艪ヘぬけ道の前に立ちたるが、道化役《プルチネルラ》に打扮《いでた》ちたる一群|戲《たはむれ》に相鬪へるがために、しばし往還の便を失ひて、かの婦人と向きあひゐたり。我は廼《すなは》ちこれに對して論じていはく。君よ。かくても誓に負《そむ》かざることを得るか。かくても羅馬の俗、加特力《カトリコオ》の教に背かざることを得るか。嗚呼、タルクヰニウス・コルラチニウス[#「タルクヰニウス・コルラチニウス」に傍線]が妻なるルクレチア[#「ルクレチア」に傍線](辱《はづかしめ》を受けて自殺す、事は羅馬王代の末、紀元前五百九年に在り)は今|安《いづく》にか在る。君は今の女子の爲すところに倣《なら》ひて、謝肉祭の間、夫を河東に遣りて、僧と倶に精進《せじみ》せしめ給ふならん。君が良人は寺院の垣の内に籠りて日夜苦行し、復た滿城の士女狂せるが如きを顧みず、其心には、あはれ我最愛の妻も家に籠りて齋戒《ものいみ》[#「齋戒」は底本では「齊戒」]するよとおもふならん。さるを君は何の心ぞ。この時に乘じて自在に翼を振ひ、權夫に引かれてコルソオ[#「コルソオ」に二重傍線]をそゞろありきし給ふ。君よ。我は刑法第十六章第二十七
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