I[#「コルソオ」に二重傍線]に出でたるに、こゝは早や變じて假裝舞の廣間となりたり。四方の窓より垂れたる彩氈は、唯だおほいなる欄《てすり》の如く見ゆ。家々の簷端《のきば》には、無數の椅子を並べて、善き場所はこゝぞと叫ぶ際物師《きはものし》あり。街を行く車は皆正しき往還の二列をなしたるが、これに乘れる人多くは假裝したり。中にも月桂《ラウレオ》の枝もて車輪を賁《かざ》りたるあり。そのさま四阿屋《あづまや》の行くが如し。家と車との隙間をば樂しげなる人|填《うづ》めたり。窓には見物の人々充ちたり。そが間には軍服に假髭《つけひげ》したる羅馬美人ありて、街上なる知人《しるひと》に「コンフエツチイ」の丸《たま》を擲《なげう》てり。我これに向ひて、「コンフエツチイ」もて人の面を撃つは、國法の問ふところにあらねど、美しき目より火箭《ひや》を放ちて人の胸を射るは、容易ならぬ事なれば許し難しと論告せしに、喝采の聲と倶に、花の雨は我頭上に降り灑《そゝ》ぎぬ。公民の妻と覺しき婦人の際立ちて飾り衒《てら》へるあり。權夫《けんふ》(夫に代りて婦人に仕ふる者、「チチスベオ」)と覺しき男これに扈從《こじう》したり。この
前へ
次へ
全674ページ中178ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
アンデルセン ハンス・クリスチャン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング