xルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]が肩に打ち掛けて秋波を送れり。我が舞を知らざることの可悔《くやし》かりしことよ。客に相識る人少ければ、我を顧みるものなし。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]が舞果てゝ我傍に來りしとき、我憂は忽ち散じたり。紅なる帷《とばり》の長く垂れたる背後《うしろ》にて、我等二人は「シヤムパニエ」酒の杯を傾け、別後の情を語りぬ。面白き樂の調《しらべ》は耳より入りて胸に達し、昔日の不興をば少しも殘さず打ち消しつ。われ遠慮せで猶太少女の事を語り出でしに、友は唯だ高く笑ひぬ。その胸の内なる痍《きず》は早くも愈《い》えて跡なきに至りしものなるべし。友のいはく。われはその後聲めでたき小鳥を捕へたり。この鳥我戀の病を歌ひ治《なほ》しき。これある間は、よその鳥はその飛ぶに任せんのみ。その猶太廓より飛び去りしは事實なり。人の傳ふるが信ならば、今は羅馬にさへ居らぬやうなり。友と我とは又杯を擧げたり。泡立てる酒、賑はしき樂は我等が血を湧しつ。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は又舞踏の群に投ぜり。我は獨り殘りたれど、心の中には前に似ぬ樂しさを覺えき。街のかたを見おろせば
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