ォは、又我頬を撫でゝ、聖母の善き人を得給はんためには、美しき花の壓《お》さるゝ如く、人も壓されではかなはぬが浮世の習ぞと慰め給ひぬ。獨りフアビアニ[#「フアビアニ」に傍線]の君のみは、何事をもをかしき方に取りなして、岳翁《しうと》と夫人との教の嚴なることよと打笑ひ、さて我に向ひてのたまふやう。君は父上の如き學者とはならざるべし。はた妻のやうに怜悧なる人ともならざるならん。されど君が如き性もまた世の中になくて協はぬものぞと宣《のたま》ふ。斯く裁判し畢りて、小尼公《アベヂツサ》を召し給へば、我はその遊び戲れ給ふさまのめでたきを見て、身の憂きことを忘れ果てつ。人々は來ん年を北伊太利にて暮さんとその心構《こゝろがまへ》し給へり。夏はジエノワ[#「ジエノワ」に二重傍線]にとゞまり、冬はミラノ[#「ミラノ」に二重傍線]に往き給ふなるべし。我は來ん年の試驗にて、「アバテ」の位を受けんとす。人々は首途《かどで》に先だちて、大いなる舞踏會を催し、我をも招き給ひぬ。門前には大篝《おほかゞり》を焚かせたり。賓客の車には皆|松明《まつ》とりたる先供あるが、おの/\其火を石垣に設けたる鐵の柄に※[#「插」でつく
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