借らずば、人々の前に出づることを得ざるべし。我心|爭《いか》でかこれに堪へん。我に勢あるをぢあり。我はこれに我上を頼みき。我は身を屈して願ひき。こはわが未だ嘗て爲さざることなり。わが敢てせざるところなり。我はその時又汝が事をおもひ出しつ。斯くわが心に負《そむ》きて人に頼るも、その原《もと》は汝に在るらんやうにおもはれぬ。この故に我は汝に對して、忍びがたき苦を覺ゆるなり。我は一たびこゝを去りて、別に身を立つるよすがを求め、その上にて又汝が友とならん。アントニオ[#「アントニオ」に傍線]よ。願はくはその時を待て。吾は去らん。
 この夕ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は晩《おそ》く歸りて床に入りしが、翌朝は彼が退校の噂諸生の間に高かりき。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は思ふよしありて、目的を變じたりとぞ聞えし。
 ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]は冷笑の調子にていはく。彼男は流星の如く去りぬ。その光を放てると、その影を隱しゝとは、一瞬の間なりき。その學校生涯は爆竹の遽《にはか》に耳を駭《おどろ》かす如くなりき。その詩も亦然なり。彼草稿は猶我手に留まれり
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