譚W《など》いひぬ。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は羅馬の議官《セナトオレ》の甥《おひ》にて、その家富みさかえたればなるべし。
 ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は何事につけても、人に殊なる見《けん》を立て、これを同學のものに説き聞かせて、その聽かざるものをば、拳もて制しつれば、いつも級中にて、出色の人物ともてはやされき。彼と我とは性質|太《いた》く異なるに、彼は能く我に親みき。唯だわがあまりに爭ふ心に乏《とぼし》きをば、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]嘲り笑ひぬ。
 或時ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]の我にいふやう。われ若し我拳の、一たび爾《なんぢ》を怒らしむるを知らば、われは必ず爾を打つべし。汝は人に本性を見するときなきか。わが汝を嘲るとき、汝は何故に拳を揮《ふる》ひて我面を撲《う》たんとせざる。その時こそ我は汝がまことの友となるならめ。されど今はわれこの望を絶ちたりといひき。
 わがダンテ[#「ダンテ」に傍線]の熱の少しく平らぎたる頃なりき。ひと日ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は我前なる卓に腰掛けて、しばし故ありげなる笑をもらしつゝ我
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