、王女さまのところにいて、あなたのことなどは、きっとわすれていますよ。」
「カイちゃんは、王女さまのところにいるんですって。」と、ゲルダはききました。
「そうです。まあ、おききなさい。」と、からすはいいました。「どうも、わたしにすると、にんげんのことばで話すのは、たいそうなほねおりです。あなたにからすのことばがわかると、ずっとうまく話せるのだがなあ。」
「まあ、あたし、ならったことがなかったわ。」と、ゲルダはいいました。「でも、うちのおばあさまは、おできになるのよ。あたし、ならっておけばよかった。」
「かまいませんよ。」と、からすはいいました。「まあ、できるだけしてみますから。うまくいけばいいが。」
 それからからすは、しっていることを、話しました。
「わたしたちがいまいる国には、たいそうかしこい王女さまがおいでなるのです。なにしろ世界中のしんぶんをのこらず読んで、のこらずまたわすれてしまいます。まあそんなわけで、たいそうりこうなかたなのです。さて、このあいだ、王女さまは玉座《ぎょくざ》におすわりになりました。玉座というものは、せけんでいうほどたのしいものではありません。そこで王女さま
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