して可愛がつて来いよ。」
云ひながら、伝は僕に向つて、ミツキイが遠慮なくお銀を自由にするように――早く、ミツキイに通じて呉れ! などとせきたてるのであつた。
そして彼等は、僕が何も気づいてゐないと思つてゐるので、さかんに卑猥なことを口にして、皮肉な哄笑を挙げるのであつた。
「お前は、ジヨンニーなんて云ふ友達があるから、休みの日であらうとなからうと、村になんて来たくはなからうね。」とか「男同志でも、お前達位仲が好かつたら、色女などは欲しくはあるめえよ。」
「あつはつは……、異人といふのは男でも、女のやうにおとなしいものかね。」
「俺達にも、ちつと英語とやらを教へて呉れろよ――何とか云つて、口の先をくつ付け合ふ、そこんところだけで好いから、言葉を教へて呉れよう――伝や、禿鷹なんぞぢや真つ平だが、ジヨンニーさん見たいな綺麗な男とならば……だね。」
彼等は、次第に酔の火の手をあげて、大騒ぎであつた。お銀からの理由を訊かぬ昨日までは、思へば、それに類するお世辞見たいなことを屡々彼等から聞かされて僕は却つて得意さうな顔を保つてゐたものゝ、今となつて見ると、毒々しい皮肉が僕の胸を嵐のやうに掻き
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