山男と男装の美女
ミツキイのジヨンニイ
牧野信一
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)短銃《ピストル》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)七|哩《まいる》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+毟」、第4水準2−78−12]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)パン/\/\!
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
糧食庫に狐や鼬が現れるので、事務所の壁には空弾を込めた大型の短銃《ピストル》が三つばかり何時でも用意してあつたが、事務員の僕と、タイピストのミツキイは、狐や鼬に備へるためではなく、夫々一挺宛の短銃を腰帯《バンド》の間に備へるのを忘れたことはなかつた。夜、夫々のベツドに引きあげて眠りに就く時にも枕の下に、それを入れて置くことを忘れてはならない――と約束し合つてゐた。
村里から馬の背をかりて七|哩《まいる》も登つた山奥の森林地帯で、谿流の傍らに営まれてゐ
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